北朝鮮五輪代表団、米副大統領との会談を土壇場でキャンセル=米政府

五輪開会式で、ペンス氏は、北朝鮮代表団のすぐ前列に座っていた

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画像説明, 五輪開会式で、ペンス氏は、北朝鮮代表団のすぐ前列に座っていた

米政府は20日、平昌冬季五輪の開会式に出席したマイク・ペンス米副大統領と北朝鮮代表団の会談が予定されていたものの、北朝鮮側が直前にキャンセルしたと発表した。

米国務省のヘザー・ナウアート報道官は、ペンス副大統領は北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏などと会う予定だったと声明で明らかにした。

会談が実現していれば、トランプ政権と北朝鮮政府の初めての公式な接触になるはずだった。

北朝鮮は米国側のこの説明に反応していない。

ナウアート報道官によると、短時間の会談の「可能性が浮上」した際、ペンス氏はその機会を通じて「北朝鮮が弾道ミサイルと核の違法な開発計画を放棄しなくてはならないのだと、確実に伝えるつもりだった」という。

同報道官は文書で、「直前になって、DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)高官たちは会談を取りやめた。先方が機会を捉えようとしなかったのは残念だ」と述べた。

北朝鮮選手・代表団による平昌五輪への参加は、南北の緊張が続く朝鮮半島で、緊張緩和を示す大きな動きと受け止められた。

しかし、核兵器や通常型ミサイルの実験を繰り返し、各方面から激しく非難される北朝鮮が五輪に参加するのは、単に国際社会でのイメージを改善する意図からではないかとの懸念がある。

米国など各国は、核開発をやめさせ人権問題を改善するよう、北朝鮮に対して圧力をかけ続けるべきだと警告している。

ペンス副大統領のニック・エイヤーズ首席補佐官は、北朝鮮が副大統領の態度軟化を期待して会談の可能性をちらつかせていたと話した。副大統領が強い姿勢を貫けば、「オリンピックをプロパガンダの場にしたい」北朝鮮の狙いがかなわくなるため、懐柔しようとしたのだという。

エイヤーズ氏は、「五輪を素敵な写真撮影の場として使い、自分たちの残酷な独裁政権をきれいに取り繕いたいキム(委員長)の願いを、我が政権は阻止する。向こうが会談を取りやめたのはそのせいかもしれないし、そもそも会談する気がなかったのかもしれない」と述べた。

五輪会場を後にした副大統領は10日、米国と同盟各国は北朝鮮への姿勢で固く団結していると述べた。

副大統領は帰国の機内で、「北朝鮮が核兵器と弾道ミサイル開発計画を放棄するまで、北朝鮮を経済的、外交的に孤立させ続けるのが必要だ。この点について、米国と韓国、日本の立場に全く違いはない」と記者団に述べている。

しかし、北朝鮮から南北首脳会談のため平壌へ招かれた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、招待受け入れを検討する姿勢を示している。

南北首脳会談は2007年10月を最後に行われていない。