世界最古の釣り針、沖縄の洞窟で発見

巻貝から作られた釣り針

画像提供, National Academy of Sciences

画像説明, 巻貝から作られた釣り針

沖縄の洞窟で、世界最古とみられる釣り針2個が発見された。報告論文が16日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。巻貝から作られた釣り針は、約2万3000年前のものとみられる。ほかにも貝で作った珠や道具類に加えて、カニや貝を食べた跡が見つかったという。

沖縄県立博物館・美術館などの専門家からなる調査グループは、沖縄県南城市のサキタリ洞窟で発掘作業を行っていた。この周辺では少なくとも3万年前から、人間が住んでいたとみられている。

釣り針の発見によって、これまで考えられていたより広範囲で、初期の海洋技術が使われていたと推測できるという。論文は、こうした技術が大西洋西岸沿いに北から中央緯度の地域にまで広がっていたことがうかがえると書いている。

これまで見つかった最古の釣り針は、少なくとも1万6000年前のチモールの釣り針と、少なくとも約1万8000年前のパプアニューギニアの釣り針。

大陸から離れた海洋諸島に人類が移動し始めたのは約5万年前からで、人類の居住範囲の拡大につながったと考えられている。

論文を発表した調査グループは、サキタリ洞窟に釣り針などを残した人々は、季節ごとに定期的に洞窟を訪れていたかもしれないと指摘。特に、モクズガニなどを食べた跡が大量に残っていることから、このカニが「最もおいしい」時期に合わせて移動していた可能性も指摘している。