リビア米領事館襲撃めぐる特別委でクリントン氏証言 「責任を果たした」
<英語ビデオ>公聴会冒頭のクリントン氏の発言
2012年にリビア東部のベンガジで米領事館が襲撃され大使を含む4人が殺害された事件で、当時の国務長官だったヒラリー・クリントン氏は22日、米下院特別委員会の公聴会で証言し、「責任を果たした」と述べ自らを擁護した。
公聴会の冒頭でクリントン氏は、「私は責任を果たした。そのなかで、現場にいる職員の安全確保の向上と、このような悲劇が将来繰り返される可能性を減らすための改革を退任前に実施した」と語った。
また、襲撃で殺害されたクリス・スティーブンス大使をリビアに派遣したのは自分だったと述べ、「襲撃の後、海兵隊が彼の棺を運ぶのを、オバマ大統領と並んで見守った」と振り返った。
10時間以上に及んだ公聴会で新たに明らかになった情報は少ない。
クリントン氏は2016年の大統領選挙に民主党から立候補している。民主党は、共和党が主導する特別委員会がクリントン氏の選挙運動を妨害するため「魔女狩り」をしていると非難した。
特別委員会のイライジャ・カミングス委員(民主党、メリーランド州選出)は、共和党がクリントン氏の選挙運動を失敗させる目的に税金を無駄遣いしていると述べた。一方、トレイ・ガウディ委員長(共和党、サウスカロライナ州選出)は、委員会はクリントン氏を標的にしているわけではないとし、領事館が襲撃以前から警備の強化などを求めていたのに受け入れられなかった背景を知ろうとするものだと述べた。
<現場から>BBCニュース、バーバラ・プレット=アッシャー記者
クリントン氏はベンガジ襲撃についてこれまで同様、事前・最中・事後の自分の対応を擁護した。ミスの責任は受け入れ、得られた教訓について述べ、政策について意見を表明した。
これまでと違う新たな要素は、クリントン氏が火消ししようとしている私用メール問題だ。リビア、そしてベンガジをめぐる仕事ではメールをほとんど使用していないと述べ、ブリーフケースで運ばれてきた機密情報をその場で内容を確認したことがあると、事例を挙げて説明した。
発言は大方落ち着いた調子で、最もとげとげしいやり取りはクリントン氏以外の出席者の間で起きた。
ガウディ委員長が、クリントン氏の友人のシドニー・ブルーメンソール氏がリビア関連の機密情報をメールでクリントン氏に送っていた事実にこだわったのだ。
ガウディ委員長は、ブルーメンソール氏がクリントン氏のリビア政策に不当に影響を及ぼし、スティーブンス大使よりも頻繁にクリントン氏に連絡をとっていたのではないかと示唆した。
民主党の委員たちはそれに強く反発し、ブルーメンソール氏の証言内容を公開するよう要求した。そのやり取りをクリントン氏は、面白がっているような表情で超然と眺めるだけだった。
特別委の公聴会をめぐる要点
特別委員会がもたらす影響は?
委員会に懲罰権はないが、最終報告書の内容によっては、大統領選に向けたクリントン氏の選挙運動に影響を及ぼしかねない。
大使らの警備強化の要請をクリントン氏はどれくらい知っていたのか
これまでもクリントン氏は、要請が国務長官のレベルまで上がっていなかったとしつつも、その責任を負うと証言してきた。国務省は安全確保と外交官派遣について見直しを行い、改善策を提示している。
今回の特別委以外の委員会で明らかになったことはあるのか
議会調査は今回の委員会で8回目になる。これまで設置された委員会は、ベンガジの警備が薄かったことをはじめ、情報収集の問題などさまざまな点からクリントン氏とオバマ政権を非難してきた。
まだ分かっていないことは?
特別委は、ベンガジからの整備強化要請にいかに国務省がきちんと答えていなかったか、さらに米軍が襲撃にいかに応じたのかについて、今後新しい証拠が提示されると示唆している。