トランプ新米大統領、「米国内の殺戮」を終わらせると
ドナルド・トランプ新米大統領は20日正午(日本時間21日未明)、第45代米国大統領に就任した。就任演説では、米国社会の破綻を強調し、「米国内の殺戮(さつりく)はたった今ここで終わる」と強調した。就任式後には、注目されていた医療保険制度改革(オバマケア)撤廃に関する大統領令に真っ先に署名した。
トランプ氏は、国内で工場が見捨てられ廃墟と化し、犯罪が横行し、教育制度が破綻しているなど、米国社会が悲惨な状況にあると列挙した上で、自分の政権が変化をもたらすと表明した。
新大統領は就任演説で、ワシントンの政治家たちが「無視し続けた」「忘れられた人々」の代弁者になると約束し、「今日こそ再び、国民がこの国の指導者となる」と述べた。
「今日のこの日から、ただひたすら『アメリカ第一、アメリカ第一』だ。貿易、税金、移民、外交に関するすべての決断は、アメリカの有権者とアメリカの家族のために行われる」
「我々は、我々の製品を作り、我々の企業から盗み、我々の職を破壊する外国の侵害から、この国の国境を守らなくてはならない。保護によって、繁栄と力は拡大する」
「すべてをかけて私は皆さんのために闘う。私は決して皆さんをがっかりさせたりしない」
「アメリカはまた勝ち始める。今までにないほど勝ち始める」
「この国の雇用を回復し、国境を取り戻し、富を取り戻し、我々の夢を復活させる」
「アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用するという、2つの素朴なルールに従う」
「我々は古い同盟を強化し、新しい同盟を結ぶ。そして文明世界を一致団結させて、イスラム過激主義のテロと戦う。イスラム過激主義のテロは、この地上から完全に消し去る」
このように演説して就任式を終えたトランプ氏は、大統領として初めて大統領令にいくつか署名した。
最初の大統領令は、注目されていた医療保険制度改革(オバマケア)撤廃に関するもので、連邦議会が撤廃と代替案を検討する間、連邦政府の各機関に、オバマケアによる負担を軽減するため、制度に伴う様々な規制を緩和するよう命令した。
ショーン・スパイサー大統領報道官によると、新大統領は閣僚候補の承認を上院に求めたほか、愛国記念日を宣言。また、元海兵隊のジェイムズ・マティス退役大将の国防長官就任を可能にするため、文民既定の特例法案に署名した。
ホワイトハウスの公式サイトは就任と同時に内容が切り替わった。政権のサイトが掲げる政策課題は、エネルギー、外交、雇用と成長、軍事、法の執行、貿易協定の6つに限定された。
オバマ政権時代のサイトには、公民権や性的少数者(LGBT)の権利、医療、気候変動のページがあったが、新政権ではいずれも言及がないとすでに批判されている。
就任式には、オバマ前大統領夫妻、バイデン前副大統領夫妻のほか、ブッシュ元大統領夫妻、クリントン元大統領夫妻、カーター元大統領夫妻も出席。入院中のジョージ・H・W・ブッシュ元大統領と、バーバラ夫人は欠席した。
ワシントン警察によると、就任式に抗議するデモ集会や行進で、警察は217人を逮捕、警官6人が軽傷を負った。
ショーン・コンボイ報道官は、ほとんどの逮捕者の罪状は器物損壊などだと説明した。
日中には、黒衣に身を包んだ約150人がワシントン市内を行進し、建物の窓ガラスを割ったり、ゴミ箱を道路の真ん中に移動させてバリケードを作ったりしていた。
21日には、トランプ政権下で脅かされると大勢が懸念する人種や性の平等などを訴えるため「女性大行進」がワシントンで行われる。20万人の参加が見込まれている。
ホワイトハウス公式サイトの請願ページには、新大統領に対する新しい請願が2つ登録された。ひとつは、トランプ氏に所有する事業の権利を売却し、白紙委任信託に収めるよう求めるもの。もうひとつは、新大統領に納税記録の公表を求めている。