「抑え込んだ」はずが死者10万人 米国と新型ウイルス

ジョン・ソープル、北米編集長

Statue of Liberty with a mask

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それは不気味な、そして悲劇的に完全なほどの対称となっている。

合わせて44年に及ぶ朝鮮、ヴェトナム、イラク、アフガニスタンの各戦争で死んだ米軍人の人数と、ドナルド・トランプ米大統領が「見えない敵」と呼ぶ新型コロナウイルスの感染症COVID-19でわずか3カ月のうちに死んだ米国民の人数が、ほぼぴったり同じなのだ。

トランプ氏は新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼んでいるが、それは後述する。

COVID-19の死者数を、がんの死者数や交通事故の死者数と置き換えると、同じように厳しい、またはもっと衝撃的な統計となるだろう。ただ悲しいことに、死亡交通事故や末期がんはこれまでずっとあった。一方、パンデミック(世界的流行)はなかった。突如としてアメリカの10万の家族がこの春、新型ウイルスによって早期に人生を断ち切られた、愛する人の死を悼んでいるのだ。アメリカの感染者は150万人に上っている。さらにそれを上回る何百万人もが仕事を失っている。

トランプ氏が2017年にホワイトハウスの執務室に入って最初にした事の1つは、バラク・オバマ前大統領が移動したウィンストン・チャーチルの胸像を、元の中心的な位置に戻すことだった。オバマ氏はマーチン・ルーサー・キング・ジュニアの銅像を置くため、チャーチルの胸像を動かしていた。

そして、新型ウイルスとの戦いでは、トランプ氏は自らを戦時の指導者に見立てた。ニューヨーク・マンハッタンのビル建設地でシャベルをふるうことはできたかもしれない不動産王が、「運命の人」になろうとした。ナップサックに指揮棒を入れて戦場で部隊に作戦実行を命じる、経験の浅い元帥になろうとしたのだ。それだけでなく、国民の生活を守り、おびえた国家を勇気付けようとした。

Donald Trump tours a Ford car factory that has switched to making ventilators

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画像説明, トランプ氏は人工呼吸器の製造を始めた自動車メーカーのフォードの工場を訪れ称賛した
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トランプ氏には、チャーチルのような秀でた弁舌の才能はない。有名な「私たちは海岸で戦うだろう」(we shall fight them on the beaches)に匹敵する演説をしたことがない。炉辺談話で、ルーズベルト風の落ち着きを醸し出してもいない。屈辱の日々はあったが、どれも原因はトランプ氏の発言であり、アメリカに対する攻撃ではなかった。

ともかくも、自称戦争指導者として、少なくとも敵に関する初期の警告を無視した責任は問われなければならない。彼の立場はチャーチルよりネヴィル・チェンバレンに近い。

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アメリカの死者(単位:人)

朝鮮戦争 (1950-1953年):36,500

ヴェトナム戦争 (1961-1975年):58,000

イラク戦争 (2003-2011年): 4,500

アフガニスタン戦争(2001年-現在): 2,000

COVID-19 (2020年2月-現在): 100,000

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アメリカの初期の新型ウイルス対策は、1月下旬の重要な行動が目を引く。トランプ氏は中国から渡米してくる米国民以外の人々について、入国を禁止したのだ。これは賢明で決断力のあるものだった(ただ、トランプ氏は中国からの渡米者全員の入国を禁止すべきだったと主張する人もいる。私にはアンフェアに思えるが)。しかし、この戦術がトランプ政権にもたらした優位性は、翌2月に何もせず無能さをさらしたことで消滅した。

検査を拡大する試みは悲惨だった(トランプ氏は疾病対策センターに煮え湯を飲まされた)。個人防護具(PPE)の調達ははかどらなかった。連邦政府の主要用具の緊急備蓄は、ハバードおばさんの戸棚のように空っぽだった。トランプ氏は、国家安全保障会議における世界健康安全保障に関する部門をそっくり解散していた。3000万ドル(約32億円)規模の米政府の危機対応基金(Complex Crises Fund)もなくしていた。これらの決定が、COVID-19と戦うアメリカの力を大きく損なった。

動画説明, アメリカが失った6週間 新型ウイルス対策はなぜ遅れた
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トランプ氏はこの間、中国から来た新型ウイルスは大したものではないと、熱心に国民に説いた。そして、経済に大打撃を及ぼすものではまったくないとした。トランプ氏にとって経済は、11月の大統領選挙における再選戦略の核だった。

このころの数週間のトランプ氏の発言は、振り返る価値がある。

1月22日:「中国から来たのは1人で、我々はその人を管理下に置いている。まったく問題ない」

2月2日:「中国から来るのをほぼ抑え込んだ」

2月10日:「4月までには、理論上、少し暖かくなれば、奇跡的に消え去るようだ。それが本当だと願っている。ただ、我々の国はよくやっている。習(近平)国家主席と話をしたが、中国はものすごい努力をしている。すべてうまく行くと思っている」

2月11日:「この国では、基本的に12人しか感染者がいないし、そのほとんどは回復していて、完全に回復した人もいる。だから実際にはさらに少ない」

2月24日:「新型コロナウイルスはアメリカではほぼ掌握されている。すべての人および関係各国と連絡を取っている。CDC(疾病対策センター)と世界保健(機関)は精一杯、非常に賢明な取り組みを続けている。株式市場の状況もよさそうだ!」

2月26日:「いま15人いて、その15人が数日でゼロ近くに減るのは、私たちの対応が見事ということだ」

危機? いったい何の危機?

ところが3月になると輪郭がはっきりし、大変な状況が見え始めた。ニュースはすべて恐ろしい内容だった。検査不足のため、地域内で広範囲に感染が広がった。人々は新型ウイルスに感染したが、どこで感染したのか、誰から感染したのか、どのように感染したのかははっきりしなかった。感染経路の追跡はもはや不可能だった。

最初の感染は西海岸ワシントン州で確認されたが、COVID-19はたちの悪い方法ですべての人々を攻めてきた。この厄介なウイルスは、真に集中すべきところとは違うところに、私たちの目を向けさせた。COVID-19が大暴れしたのは東海岸だった。中でも、アメリカで最も大きく、最も裕福で、最も人口密度が高い都市ニューヨークに、壊滅的な影響をもたらした。

動画説明, トランプ支持者に聞く 大統領のパンデミック対策をどう思う?
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ニューヨーク市はあっという間に感染拡大の中心となり、トランプ氏が育った同市クイーンズは中心の中心となった。そこから伝わってくる画像は、明らかになりつつあった惨状の規模を、米国民と大統領に知らしめた。エルムハースト病院では、駐車したトラックの冷凍コンテナに、死体安置室に収容し切れない死体を保管した。感染流行のピーク時に同病院の若い医師に話を聞くと、日々繰り返されるぞっとするような生死について語ってくれた。

地球上最も裕福な国の、最もお金がある都市で、看護師たちはごみ袋をPPEとして身に着け、集中治療室へと向かっていた。それしか手に入らなかった。救命救急の相談員は、患者の様子を調べる時にスキーのゴーグルを着用していた。病院には顔面用のマスクがなかった。ブロンクスでは小さな島に集団墓地が掘られた。そこに近親者がいない死者や、葬儀の費用を残さなかった死者が埋葬された。コモンウェルス戦争墓地の無名戦士の墓碑に刻まれた言葉のように、「神は知っている」という状況だった。

地球を何度も木っ端みじんにできる軍事力をもつ全能の超大国アメリカは、ぼろぼろの状態で、自分の庭で起きていることすら掌握できていない様子だった。アメリカという物語において、この時期が同国の偉大さを示すようになるとは考えにくい。

A medical worker approaches a refrigerator truck being used as a morgue outside of Brooklyn Hospital Center amid the coronavirus pandemic on April 3, 2020 in New York City

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画像説明, ニューヨーク市ではトラックの冷凍コンテナが死体安置所として使われている(4月3日撮影)
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クイーンズがトランプ氏の育った土地なら、マンハッタンは同氏が財を成した土地だ。金もうけと言えばウォール・ストリートであり、米経済の脈拍と酸素量を測ることができる。トランプ氏はそのベッドわきに立ち、1時間ごとに数値をチェックするのが好きだ。だが、米経済の活動を停止せざるを得ないことが明らかになると、ダウ・ジョーンズ指数は急落。サーキット・ブレーカーが発動された。トランプ氏と側近は、大統領再選の戦略が崩壊の危機にひんしていら立った。

ところが、冷え切った経済への大量の資金投入に連邦議会が同意しそうだとのうわさが伝わると、急落から一転、目のくらむような上昇が起きた。

アメリカの死者の2万5000人以上は、ニューヨーク州で記録されている。同州のアンドリュー・クオモ知事は、新型ウイルスで最初の政界のスーパースターとなった。彼は連日、どこで何が起こり、どんな対応がなされ、まだ何が必要か、事実に基づいた非常に詳細な発表を実施。全米の人々がテレビの視聴予約を設定した。

動画説明, ニューヨーク州知事、ウイルス検査を生中継中に 「気後れする必要ない」
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生粋の民主党員でクイーンズ育ちのクオモ氏には、多くの共和党員から称賛のまなざしが向けられた。何人もの民主党員は心の中で、「ジョー・バイデンではなく、彼が11月にわが党の大統領候補だったら」と考えた。クオモ氏は昔ながらの新聞のように、何が事実で何が意見なのかを明確に説明した。高度に洗練された45分間で、ニューヨークが奈落の底に落ちる模様をニュースとして語り、意見コラムのように個人的見解を示した。自らの対応は完璧ではないと認め、もっと早く動くことができたと話した。さらに、称賛に値すると思った時は、トランプ氏をたたえた。政府に活を入れる必要があると思えば、手厳しいことを言った。

クオモ氏に国中の関心が集まっていたころ、トランプ氏もホワイトハウスで毎日、記者会見を開くことを決めた。同氏がどれほど群衆のわめき声が好きで、必要としているかは明白だ。政権運営は退屈だ。遊説に出て、支持者らから熱い声援を受けることが、彼のエネルギーのもととなっている。それが彼の心臓を脈打たせ、血液をめぐらせている。

動画説明, 1分で振り返る アメリカ初の新型ウイルス感染、確認後の60日間
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ロックダウン(都市封鎖)はこの大統領から、2つの大好物を奪った。ゴルフと、愛すべき騒がしい群衆に向かって演説できる夜の集会だ。トランプ氏を訪ねて来る国家元首はいなくなり、その場の議題に無関係の自分の考えをテレビカメラが伝えてくれる機会もなくなった。世間の注目という酸素に飢えていたトランプ氏は毎日、記者会見室に現れた。そして私たち記者は、彼の人工呼吸器という最もふさわしくない役割を果たした。決して信頼していないジャーナリストたちに挿管されても、それがうまく行くはずがなかった。

マイク・ペンス副大統領には、新型ウイルスの対策チームを率いる役割が与えられた。彼にとっては毒杯となり得たが、その仕事を落ち着いてこなした。すべてに関して詳細を押さえていたペンス氏は、政府のさまざまな部署とホワイトハウスの連結役として、また、政府のさまざまな部署と50州の知事たちの連結役として、うってつけの存在だった。さらにもう2つのことを、ペンス氏は鮮やかな手際で成し遂げた。トランプ氏を最大限にたたえることを決して忘れず、彼の指導力に敬意を表した。そうしないと災難が降りかかるからだ。そしてペンス氏は、共感を示すことも決して忘れなかった。米国民の苦しみについて語り、家族を亡くした人々に哀悼の意を表した。ペンス氏には簡単にできることだったが、トランプ氏がそうすることはほとんどない。

記者会見室では登場人物が替わることもあった。他の2人の強固な登場人物に、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長で独立心の強いアンソニー・ファウチ博士と、オバマ政権でエイズ対策を率い、トランプ政権で新型ウイルス対策の調整官に任命されたデボラ・バークス医師がいる。この2人の科学者は、トランプ氏の判断を証拠に基づいたものにするつもりだった。しかし2人のアクセスは限定的だった。

米経済の活動が休止されるとすぐ、ビジネス重視の人々がトランプ氏に、彼が医師から指示されている治療法は病気よりひどいとささやき始めた。国民を仕事に復帰させよ。経済活動を再開せよ。失業、景気後退、恐慌、米経済の荒廃は、死者数より恐ろしいことになる。トランプ氏は最初、アメリカはイースター(今年は4月12日)までに再開し、教会が人でいっぱいになるようにすべきだと訴えた。だがそれは、バークス氏とファウチ氏に阻止された。このことについて質問されたファウチ氏は、反対を表明せずに大統領に反対する術を実例として示した。彼は「スケジュールは人が決めるのではなく、ウイルスが決める」と記者団に述べた。老練だった。

しかし、再開を求める力が圧倒的となった。失業者が急増し、トランプ氏は「強い経済」という選挙戦略が失敗に終わると考えた。

この間、死者数はどんどん増加した。2月には水滴だったものが、次第に一筋の流れとなった。その流れは、絶え間ない水流となった。そして4月後半には激流となった。

New Orleans

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画像説明, ルイジアナ州ニューオーリンズのアフリカ系アメリカ人のコミュニティーは大打撃を受けている
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コロナウイルスは感染する人を選ばなかった。だが、命を奪う対象は選んだ。統計は衝撃的だった。黒人やラテンアメリカ系は、死亡する確率がずっと高かったのだ。長年続く健康面での不平等が表面化した。貧困状況の中で成長した人は、コロナウイルスに感染すると命取りとなり得る持病がある確率が高かった。高血圧、糖尿病、肥満、心臓病だ。さらに、密集度が高く数世代が同居する家で暮らし、社会的距離を取るのが不可能な工場や食肉処理場で働いていると、当たり前だが、COVID-19にかかりやすいのだ。

ジェローム・アダムス公衆衛生局長官は、自身も黒人であり、この問題を率直に取り上げ、力強く訴えた。しかし、その代償を払うことになったようだ。ホワイトハウスの記者会見に姿を見せることがなくなったのだ。彼の発言に誰かが腹を立てたに違いなかった。

記者会見におけるトランプ氏自身の危うい言動も、共和党の戦略家たちから望ましくないと見られるようになっていた。大統領の支持率は下降していた。私は彼のかなり異常な記者会見に2度臨んだことがある。1つは、トランプ氏が自身のことばかり話したものだ。彼のスタッフは選挙運動のような長ったらしいビデオを作り、彼の感染流行対策がいかに見事かを詳細に説明した。2時間超に及んだこのときの会見の最初の45分間、トランプ氏は自身について語った。メディアがどれほど彼に対してアンフェアか述べた。「かわいそうな私」という内容だった。45分の間、新型ウイルスの死者のことも感染者のことも、まったく触れなかった。仕事を失って請求の支払いをどうしたらいいか困っている何百万人についても言及しなかった。

もう1つは、トランプ氏がコロナウイルス感染症の治療として、消毒剤の注射について語ったものだ。記者会見室のわきに座っていたバークス医師は、大統領の発言を聞いている間、激しい胃痛に襲われているように見えた。ただ、立ち上がって、「これは危険なたわ言です」と言う自由はないようだった。トランプ氏の言動は茶化され、嘲笑された。

しかし、批判の高まりとともに、トランプ氏は反発を強めた。

彼によって不名誉な立場に置かれた罪人が2人いる。1人は中国だ。当初は習国家主席をたたえたトランプ氏だったが、その後、中国は同氏の標的となった。中国はうそをつき、隠ぺいした。これは武漢インフルエンザだ。中国は自国民を守ったが、それ以外は守らなかった。トランプ氏の目にはさらに悪いことに、中国が世界保健機関(WHO)を脅し、WHOの弱くて気の小さいリーダーは中国の脅しに負けたと映った。その結果、この新種のウイルスの危険性を世界に十分に警告できなかったと考えた。ここにはもちろん、責任転嫁はあった。だが、トランプ氏にも一理あった。WHOの欠陥についても、中国指導部の率直さについても。

このすべてがトランプ氏の支持基盤を活気付けた。ただ、米経済の活動再開へと毅然と変化していった同氏の姿勢ほど、活気付けるものはなかった。乱暴なデモが、特に民主党知事の州で起こった。それをトランプ氏は鎮めようとはしなかった。カリフォルニア州では、自由主義の共和党員と小規模商店主の支援を受けたサーファーたちが浜辺で抗議した。「ベイウオッチ」が「ティー・パーティー」と融合した奇妙な瞬間だった。ミシガン州では、自動小銃で重武装し、映画の傭兵役のオーディションのような格好をした男たちが、州議会議事堂を取り囲んだ。

民主党員か共和党員か、トランプ好きかトランプ嫌いかをまったく考慮しないウイルスがもたらした公衆衛生の緊急事態が、アメリカを分断し、激しく二極化していた。他のすべてと同じようだった。

アメリカの再開を望むならトランプ支持者だ(大まかに)。早過ぎる再開に慎重なら民主党員だ(大まかに)。もしあなたが、ヒドロキシクロロキンの危険性に関する食品医薬品局(FDA)の助言をトランプ氏が無視したという事実をとても気に入っていて、ともかくもヒドロキシクロロキンを摂取すると決めたのであれば、彼の陣営にしっかり入っている。

動画説明, 「ウイルスはフェイクだ!」 米国で経済再開求めるデモ相次ぐ

トランプ氏は誰もがマスクを着用すべきだと公言しながら、自らはしていない。彼の支持者らはこの事実を、本当はしなくていいのだという明確なメッセージと受け止めている。さまざまな医療アドバイスが出される中、一部はマスク着用を扇動行為であり、過保護国家の象徴だとみなしている。

客にマスク着用を求める商店主は、店の外をパトロールする暴力的な集団に脅されている。ばかげたことだ。マスクは病気の拡大を止めようとする小さな努力ではなく、「闇の国家」による抑圧の象徴であるかのようにみなされ、引き裂かれ、破損されている。私たちの撮影スタッフは、抗議者たちを撮影するとき、マスクをしているとして彼らに押しやられ、嫌がらせを受けている。言うまでも無いが、彼らは社会的距離を順守する気などさらさらない。

そして、アメリカが死者10万人という恐ろしい節目を迎えた現在、将来はどうなるのか?

世論では、頭と心の戦いが起きているように思える。科学が本能的直感と対立している。国家の役割と個人の権利がぶつかっている。

仮に、行動を追跡できる携帯電話のアプリが新型ウイルスの第2波を防ぐのに欠かせない道具だとして、それを効果的なものにするためには、人口の大部分が個人情報を提供することが重要になる。そうしたことは起こるだろうか? 国家が強大になり過ぎることの危険性を建国の父たちが心配したアメリカで、そうしたことは想像できない(これはトランプ氏に対する好き嫌いをはるかに超えたものだ)。そしてもし、効き目のあるワクチンが見つかったらどうなるのか? ワクチン反対派の一団(トランプ氏はかつてそれを支持していた)は間違いなく大挙して出動し、科学や医学、国家、ビッグ・ブラザー、その他もろもろに対する疑念をかき立てるだろう。

トランプ氏はここ2カ月ほど、アメリカほどコロナウイルス検査をしてきた国はないと、繰り返し自慢している。「他国は迫ってすらいない」と彼は言う。アメリカより人工呼吸器を多く作った国も、アメリカほど多くのPPEを前線で働く人たちに供給した国も、ないと言う。トランプ氏は、アメリカが成し遂げたことを世界の指導者たちがうらやんでいると主張している。本当か? ドイツ、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、ギリシャが、うらやんでいる?

どうにも信じがたい。

アメリカより多くの死者や感染者が出た国はない。他のどの国も今のところ、迫ってすらいない。

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