無症状でも発症者と「同量のウイルスを保持」=韓国研究

レイチェル・シュレア、健康担当記者

A man coughing

画像提供, Getty Images

新型コロナウイルスの無症状の感染者が、発症者と同じだけのウイルスを保有している可能性があることが、韓国の最新研究で明らかになった。

韓国では3月初めから広範囲で検査を行っており、陽性かつ無症状だった患者も特定・隔離してきた。

そのため、新型ウイルス感染者の中で、無症状病原体保持者が大きな割合を占めている証拠を数多く持っている。

しかし研究チームは、無症状の感染者が実際にどれほどの量のウイルスを他者にうつしているかまでは特定できないとしている。

韓国では新型ウイルス検査で陽性となった人は、地域の治療センターでモニタリングされる。研究チームはこのデータを使い、感染者の鼻や喉から採取した検体に含まれるウイルスの量を見ることができる。

感染者は定期的に検査を受け、陰性となってはじめて退院できるという。

無症状でもウイルスを2週間以上保持

1886件の検査結果を調べたところ、検査を受けた時点で無症状だった感染者(その後も無症状だった人も含む)からは、発症者と同量のウイルスが検出された。

また、無症状の感染者が検査で陰性となるまでの期間の中央値は17日と、無症状でも非常に長い期間ウイルスを保持することが分かった。なお、発症者の期間の中央値は19.5日で、無症状の方がわずかに短い。

今回の調査は治療センターのデータを元にしているため、重症患者は含まれていない。また、対象となった感染者は全体の平均よりも若く、健康状態も良好だったという。

<関連記事>

感染との関連はなお不明

イギリスを含む多くの国では、検査を症状のある人にしぼっているため、無症状の感染者のデータは非常に少ない。

そのため韓国のこの研究は、ウイルスの体内での動きについて多くの情報を与えるものとなっている。

研究チームはしかし、他者への感染という観点において、無症状患者のウイルスがどのような役割を果たしているかまでは「特定できなかった」と認めている。

理論上は、症状の有無に関わらず同じ量のウイルスが鼻や喉から検出されたのなら、他人にうつす量も同じだといえる。

しかし無症状であれば、空気中にウイルスを飛ばしてしまう空ぜきをする可能性は低いはずだ。

英レディング大学の微生物学者、サイモン・クラーク博士は、「無症状の患者の呼吸器粘膜には、発症者と同じだけのウイルスがある」と指摘。一方で、「発症者と同じだけ周囲にウイルスをまき散らすわけではない」と話した。

その上で、無症状の人が感染源となるリスクはあるもものの、「せきをしてウイルスをまき散らす」発症者の方がはるかにそのリスクは高いと述べた。

英バース大学の生物学者、アンドリュー・プレストン博士も、新型ウイルスの感染リスクはさまざまな要因が絡んでいると説明する。

これには、感染者の息の深さや速さ、その人と一緒にいた時間や距離、閉鎖空間にいたかどうかなどが関わっているという。