米FBI、「中国工作員」ら訴追 反体制派に帰国迫った疑い

画像提供, Reuters
米連邦捜査局(FBI)は、中国共産党に反対する米国在住の人々に圧力をかけるなどしたとして、5人を逮捕したと発表した。
逮捕された5人と、中国にいるとみられる他の3人は「キツネ狩り」と呼ばれる作戦行動に関わり、人々を中国に帰国させ罰を受けるよう強要しようとした疑いがかけられている。
この作戦について、中国当局は逃亡者を対象としたものと説明している。だが同国に批判的な人々は、反体制派を狙ったものとしている。
FBIは、中国が「あちこちで社会規範や法律に違反している」と述べた。
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「国を超えて付きまとい」
裁判所に提出された書類によると、訴追された8人は共謀して、中国の不法工作員として活動していたとされる。
そのうち6人は、州や国を超えた付きまとい行為を共謀した疑いがかけられている。対象者を監視し、中国に帰国させようとしたとされる。
FBIのクリストファー・レイ長官は、「今日の訴追は、中国が広範囲で進行させている違法行為の新たな例を示すものであり、私たちがそれを容認しないことを示している」と述べた。
「簡単に言おう。中国が私たちの国に来て違法作戦を実行し、アメリカにいる人々を意のままにできると思っているのは、とんでもないことだ」
娘も監視か
裁判書類によると、工作員とされる人々は、ニュージャージー州在住の男性を脅迫、監視、強要した疑いがある。
2017年には、男性の高齢の父親をアメリカに連れて来て、男性を脅して中国への帰国を迫ったとされる。
工作員らはまた、私立探偵を雇い、男性の娘(成人)を監視しようとしたとされる。娘とその友人らは、脅しのようなメッセージをオンラインで受け取っていたという。
2018年には、男性の家の玄関ドアに手紙を置き、中国に戻って刑務所で10年の刑に服せば、家族はそっとしておくと伝えたとされる。
さらに2019年2~4月には、男性の自宅に小包を送付。中に入れた手紙やビデオを通して、男性に帰国を迫り、中国にいる家族に危害が及ぶと脅したとされる。
「中国の活動の一部」
訴追された8人は有罪となった場合、最長5年の禁錮刑を受ける。付きまといの容疑がかけられた6人には、最長5年の禁錮刑が追加される。
FBIのレイ長官は、「アメリカの市民やアメリカにいる合法的な永住者に、中国政府がずうずうしくも監視や脅迫、嫌がらせをしようとするのは、中国がアメリカや世界で盗みをはたらき、悪影響を広げようとするさまざまな活動の一部だ」と述べた。
レイ長官は今年7月、「キツネ狩り作戦」に言及しながら、中国がアメリカにとって最大の安全保障上の脅威となっていると警告。中国の習近平国家主席が作戦を「先導している」と述べた。
「キツネ狩り」は2015年に開始され、当局が探している数十万人の身柄確保につながったとされている。