インドネシア総選挙、ウィドド大統領が再選
インドネシアの大統領選挙の投票結果が21日に発表され、現職のジョコ・ウィドド大統領(57)が55.5%の得票率で再選した。対立候補の元軍人プラボウォ・スビアント氏(67)は44.5%だった。
4月17日に投票が行われた総選挙では有権者が1億9200万人以上にのぼり、大統領のほか、2万人の地方・国会議員が選出された。
大統領選の結果は22日に発表される予定だったが、首都ジャカルタで緊張状態が続いていたため、1日前倒しとなった。
AFP通信によると、この日はジャカルタの選挙管理委員会事務所などに3万2000人の治安部隊が配備された。
プラボウォ氏は選挙に不正があったと訴えているが、この結果に異議を唱えるかは明らかにしていない。
一方、独立の選挙監視団は、今回の選挙は自由で公正なものだったとしている。
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ウィドド大統領は2014年から現職。前回の大統領選でもプラボウォ氏と争った。
2012年にジャカルタ市長に就任してから注目を集め始め、選挙活動中は一貫して「国民の大統領」というイメージを押し出してきた。
ウィドド大統領が就任して以降、インドネシア経済は堅調に成長している。
その一方、公約に掲げていた人権問題の解決を取りやめたことで支持を落としたほか、中国からのインフラ投資を大量に受け入れたことで物議をかもした。
対立候補のプラボウォ氏は、インドネシアの伝統的な政治エリートを支持基盤に持ち、1998年まで30年にわたって政権を握っていたスハルト大統領の娘と結婚していたこともある。
プラボウォ氏はスハルト政権下で人権侵害に関わっていたことを批判されているが、本人は無実を主張し続けている。
今回の選挙では政治家階級からは距離を置き、「ジャカルタの悪のエリート」との対決を押し出した。また、中国からの投資プロジェクトを全て見直すとしていた。
2014年の大統領選では、ウィドド氏の勝利について提訴した経緯がある。
ウィドド氏とプラボウォ氏の対決は、経済やインフラ、汚職に焦点を当てたものだった。
一方、総選挙では宗教も大きな議題となった。インドネシアでは保守派のイスラム教徒が力を拡大しており、両候補は共に、自分のムスリム(イスラム教徒)としての資質を売り込んでいた。
インドネシアは国教を定めておらず、憲法で信教の自由が保障されているが、イスラム教徒が人口の8割を占めている。