トランプ米大統領 政権初の国家安全保障戦略を発表

トランプ氏

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ドナルド・トランプ米大統領は18日、政権として初めて包括的な安全保障政策を示す「国家安全保障戦略」を発表し、米国の経済的覇権への最も主要な脅威として中国とロシアを挙げた。

トランプ大統領は自ら掲げる「米国第一」の方針に基づいた安保政策を発表する演説で、過去の政権が外交政策で「失敗」したと非難した。

ワシントンのロナルド・レーガン・ビルディングで演説したトランプ氏は、米国が競争の新たな時代に直面しているとしたほか、中国とロシアを「競合勢力」としながらも、「両国との素晴らしいパートナーシップ」を築くことを目指すと述べた。

新たな協力の精神の一例として、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と17日に行った電話会談で、米中央情報局(CIA)から提供された情報によって、サンクトペテルブルクで計画が進んでいたとされるテロ攻撃が未然に防げたのをプーチン大統領から感謝されたことが挙げられた。

しかし、トランプ氏の演説に先立って発表された国家安全保障戦略の文書では、ロシアと中国を現状への「修正主義勢力」と呼ぶなど、両国に対するより厳しい文言が並んでいる。

トランプ氏は安保戦略の4つの柱の一つとして、米国土の防衛を挙げた(写真はメキシコとの国境の壁建設を訴えるデモ)

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画像説明, トランプ氏は安保戦略の4つの柱の一つとして、米国土の防衛を挙げた(写真はメキシコとの国境の壁建設を訴えるデモ)

トランプ氏は安保戦略の4つの柱として、米国土の防衛、米国の繁栄推進、力による平和、米国の影響力拡大を挙げた。一方で、同氏が人権擁護や気候変動について言及しなかったのを批判する人々もいた。

68ページに及ぶ新安保戦略は、11カ月前から政権が作成に取り組んできたもので、昨年の大統領選での公約に立ち返る姿勢がうかがわれた。

安保戦略には「違反や不正行為、経済的侵略を米国はこれ以上見て見ぬふりはしない」と書かれている。

トランプ氏は、地球温暖化に対する国際的な枠組みの「パリ協定」や環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を就任以来の成果として挙げた。

同氏はさらに、経済的に豊かな国は米国が提供する防衛にかかる費用を「払い戻す」必要があると認めなくてはならないと語った。

また、北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返していることやパキスタンがイスラム過激主義に対抗する措置を十分取っていないのを批判した。