トランプ米大統領 「気候変動はどちらにも転がる」 英テレビ番組に出演

US President Donald Trump and Prince Charles, Prince of Wales pose ahead of a dinner at Winfield House on June 04, 2019

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ドナルド・トランプ大統領(右)はチャールズ皇太子の気候変動対策への情熱に感動したが、自身の主張は変えなかった

アメリカのドナルド・トランプ大統領は5日放送のテレビ番組で、気候変動は良い方向にも悪い方向にも「どちらにも転がる」と発言した。

3~5日に訪英していたトランプ大統領は、英ITVの番組「グッドー・モーニング・ブリテン」に出演。3日にチャールズ皇太子と90分にわたって会談した際に気候変動について話したと述べた。そのうえで、「天候は変化していて、どちらにも転がると思う」と話した。

トランプ氏は、皇太子の「良い気候」を求める気持ちに共感したと述べた半面、汚染の拡大は他国のせいだと非難した。

チャールズ皇太子は何十年にもわたり環境問題に取り組んでいる。一方、トランプ大統領はパリ協定から離脱するなど、アメリカの気候変動対策の法律を次々と後退させている。

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「グッドー・モーニング・ブリテン」でトランプ氏は、チャールズ皇太子との会談は当初15分を予定していたと話した。

「皇太子がほとんど話していて、彼は本当に気候変動に入れ込んでいた。いいことだと思う」

「皇太子は次世代が良い気候、大惨事とは正反対の気候の中で生きられるようにしたいと考えていて、それには私も賛成だ」

情熱に感動、でも意見は変えず

トランプ大統領はチャールズ皇太子の「次世代への情熱」に心を動かされたと話した一方、気候科学に関する自身の意見は変わらなかったと述べた。

その上で、中国やインド、ロシアが大気や水質を悪くしていると避難。半面、アメリカは「最もきれいな気候」を持つ国の1つだと話した。

「忘れないで欲しいのは、これは昔は地球温暖化と呼ばれていて、それがうまくいかなくなると気候変動と呼ばれ、今は異常気象と呼ばれている。異常気象は避けられないからだ」

また、気候変動の影響で「異常気象」が増えたという考えを否定するため、過去の自然災害の例を挙げた。

「アメリカの竜巻が今ほど深刻だった覚えはないが、40年前にも史上最悪の竜巻被害があった。1890年代にも史上最悪のハリケーンがあった」

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飛行機に乗ると温暖化が……自分の「炭素の足跡」を減らすには

トランプ大統領はかつて、気候学者は「政治的目的」を持っていると非難し、気候変動を「嘘っぱち」だと述べた。この発言は後に撤回された。

2017年には、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年のパリ協定から離脱すると宣言。地球の気温上昇を工業化以前(1850~1900年)と比較して摂氏2度以下に抑えるとするこの協定が、アメリカの労働者に不利だと訴えた。

政府機関からの警告も無視し続けており、昨年には気候変動によって経済に深刻な悪影響が出るという報告書を「信じない」と一蹴した。

トランプ政権は環境保護や気候変動にまつわる政策を次々と後退させる一方、石炭工場や石油掘削に対する規制を取りやめる法案を提出している。

バイデン氏などは気候変動対策を発表

こうした中、2020年の大統領選への出馬を表明しているジョー・バイデン前副大統領は4日、独自の気候変動対策を発表した。

「クリーン・エネルギー革命」では1兆7000億ドル(約184兆円)を投じ、アメリカ全土で環境保護に関わる雇用を促進する一方、気候変動やエネルギー問題にも取り組む。

また、2050年までに排出ガスをゼロにするというオバマ政権時代と同じ目標を掲げ、「汚染物質を排出している人たちがそのコストを全て請け負うクリーンエネルギー100%経済」を目指すとした。

さらに、石油・ガスからの汚染に「厳しい」制限を設け、国有地と生物多様性を保護し、気候科学に向こう10年で4000億ドルを投資する計画を立てている。

同じく大統領選に立候補している民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)も、自らの気候変動対策を公表している。

ウォーレン議員の計画では2兆円を環境技術や研究、雇用に投資するほか、国立クリーンエネルギー研究所を設立するとしている。