中国、今年は経済成長率目標を設定せず 新型ウイルス流行で

Workers assembling toys at the Mendiss toy factory in Shantou, in southern China's Guangdong province.

画像提供, Getty Images

中国の李克強首相は22日、今年度は国内総生産(GDP)成長率目標を設定しないと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による経済低迷に直面しているためで、1990年の統計開始以来、初めてとなる。

経済規模で世界2位の中国だが、新型ウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)で経済がまひし、2020年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)の実質成長率は前年同期比でマイナス6.8%だった。

李首相はこの日から始まった全国人民代表大会(全人代)で、「COVID-19のパンデミックや世界経済、通商環境をめぐる強い不透明感によって、中国の発展が予測不能となる要因に直面しているため」と説明した。

失業率の上昇が社会不安を招くとの懸念が高まる中、中国政府は経済支援策の拡大を約束している。

<関連記事>

アメリカとの関係に亀裂

中国とアメリカの関係は現在、新型ウイルスや貿易、そして香港をめぐる諸問題で緊張が高まっている。

ドナルド・トランプ米大統領は23日、中国への批判を再び展開。習近平国家主席が「アメリカと欧州に対する偽情報とプロパガンダの攻撃」の背後にいると示唆した。

トランプ大統領や共和党員はかねて、中国政府が新型ウイルスのアウトブレイク初期の対応を誤ったと批判を強めている。

また22日には、中国が香港に対し新しい国家安全法を導入する方針を示しており、香港の高度な自治が脅かされる懸念が広がっている。

トランプ氏は、中国が香港への支配を強めるならアメリカは「非常に強固な」対応を取るだろうと述べている。

さらにアメリカの連邦議会下院は今週初め、アメリカの財務報告基準を満たさない中国企業についてアメリカでの上場を廃止できる法案を可決している。