【東京五輪・パラ】 開閉会式演出の小林氏を解任、過去にコントでホロコーストやゆ
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は22日、五輪開会式が翌日に迫る中、開閉会式でショーディレクターを務める元お笑い芸人の小林賢太郎氏(48)を解任したと発表した。
小林氏は過去にお笑いコンビ「ラーメンズ」として活動していた。1990年代のコントで、第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人などのホロコースト(大虐殺)を揶揄(やゆ)するようなセリフがあったことが最近になって浮上した。
組織委の橋本聖子会長は都内で記者会見を開き、「小林賢太郎氏が自身の公演で過去に、歴史上の痛ましい事実を揶揄するセリフを使用していたことが分かった。これを受けて、本日小林氏を解任することにした」と述べた。
そして、「開会式が目前に迫る中、多くの関係者、都民、国民にご迷惑ご心配をお掛けしたことを深く申し上げる」と謝罪した。
人権団体が批判
小林氏の解任に先立ち、米ユダヤ人人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)などが、小林氏の過去の発言を激しく批判した。
SWCのラビ・エイブラハム・クーパー副所長は、「どんなにクリエイティブな人であっても、ナチスによるジェノサイド(集団虐殺)の犠牲者をあざ笑う権利はない」と述べた。
菅義偉首相は同日午後、「(小林氏によるコントの表現は)言語道断、全く受け入れることはできない」と非難した。
組織委は明日の開会式をどう行うか現在検討中という。
組織委は小林氏のコメントを発表。その中で小林氏は「私は元コメディアンで、引退後の今はエンターテインメントに裏方として携わっております」と切り出し、「人を楽しませる仕事の自分が、人に不快な思いをさせることはあってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったことを理解し、反省しています。不快に思われた方々におわび申し上げます。申し訳ありませんでした」と謝罪した。
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問題になったのは23年前にラーメンズが演じた教育番組のパロディコントで、登場人物に扮した2人が番組企画について相談する内容。紙でバットやボールや野球場を作り、スタンドを埋める観客も紙で表そうという話になり、「人の形に切った紙いっぱいあるから」、「ああ、あのユダヤ人大量惨殺ごっこやろうって言った時のな」とやりとりしている。さらに、「(プロデューサーの)トダさん、怒ってたなあ。『放送できるかっ』てな」というセリフが続く。
前組織委会長や演出家が相次ぎ辞任
開会式をめぐっては、楽曲の作曲を担当することになっていた音楽家の小山田圭吾氏(52)が過去に、障害のある同級生らを暴力的にいじめていたことが問題となり、19日に辞任している。小山田氏は子供のころの自分のそうした行動について、1990年代に複数の雑誌インタビューで自ら詳しく語り、明らかにしていた。
また、3月には五輪・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエイティブディレクターだった佐々木宏氏(66)が、タレントの渡辺直美さん(33)にブタの耳を付け、「オリンピッグ」として開会式に登場させることを提案していたことが判明し、辞任した。
2月には組織委会長だった森喜朗氏が、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと発言。「不適切」だとの批判を受け、会長を辞任した。
組織委はこうした問題以外に、新型コロナウイルスの感染対策にも直面している。五輪出場選手や関係者の間では感染者が増加している。22日までに、選手・関係者91人が、ウイルス検査で陽性と診断されたと発表した。