夜10時が「理想的な」就寝時刻 心臓の健康維持につながる=英研究チーム

Man in bed wearing an eye mask

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心臓の健康維持のために最適な就寝時刻が、午後10時から午後11時の間であることが、8万8000人のボランティアを対象とした研究で明らかになった。この結果は学術誌「European Heart Journal」に9日に掲載された。

研究は、英調査団体「UKバイオバンク」の研究チームが行ったもの。同チームは、体内時計と睡眠を合わせることで、心臓発作や脳卒中のリスク低下につながると考えている。

24時間のリズムで動く体内時計は健康や注意力の維持に重要だ。また、血圧などにも影響を与える可能性がある。

研究では、ボランティアに腕時計型の装置を装着して7日間の睡眠と起床時間のデータを収集。その後、ボランティアの心臓や循環器系の健康状態について、平均6年間にわたって追跡調査を実施した。

調査中、3000人強の成人が循環器疾患を発症した。

その多くは「理想的」な就寝時刻とされる午後10時から11時よりも遅く、あるいは早く寝ていた。

この関連性は、睡眠時間と睡眠の不規則性を調整しても持続した。

研究者は年齢や体重、コレステロール値といった、人間の心臓病リスクに影響を与えるとされる他の要因をコントロールしようとしたが、本研究ではその因果関係を証明できないとしている。

最も高リスクな時間は

この研究の著者の、英エクセター大学デイヴィッド・プランズ博士は、「今回の研究では因果関係を結論づけることはできないが、この結果は、(理想的とされる就寝時刻より)早い時間帯あるいは遅い時間帯に眠ると体内時計を狂わせ、循環器系の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があることを示している」と述べた。

「最も高リスクなのは午前0時以降だった。体内時計をリセットする朝日を浴びる機会が減る可能性があるためだとみられる」

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英心臓病財団の循環器専門看護師レジーナ・ギブリン氏は、「今回の大規模な研究は、多くの人が心臓の健康を長期的に維持するうえで、午後10時から11時の間に眠るのが最適であることを示唆している」と述べた。

「一方で、この研究はあくまでも(睡眠との)関連性を示すものであり、原因と結果を証明するものではないことを忘れてはいけない。心疾患や循環器疾患の危険因子としての睡眠のタイミングと時間については、さらなる研究が必要だ」

十分な睡眠の確保は、心臓や循環器系の健康だけでなく、ウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)にとっても重要で、大半の成人は1日7〜9時間の睡眠を目指すべきだと、ギブリン氏は述べた。

「ただ、心臓の健康に影響を与える要因は睡眠だけではないので、血圧やコレステロール値などの数値の把握や、健康的な体重の維持と定期的な運動、塩分やアルコールの摂取量の削減、バランスのとれた食事など、ライフスタイルの見直しも重要だ。こうしたことが、心臓の健康維持に役立つ」