異性カップルもシビル・パートナーシップ制度を選べるように 英国
テリーザ・メイ英首相は2日、イングランドとウェールズで同性同士でも異性同士でも、全てのカップルが結婚しなくても配偶者としての法的権利を認めるシビル・パートナーシップを選択できるようにすると発表した。
これによって、同性カップルは結婚とシビル・パートナーシップのどちらかを選べるのに、異性カップルは結婚しか選べないという「不均衡」が是正されることになる。
英国における結婚は、伝統的な男女観や宗教的な意味合いが強いため、異性カップルでも対等な関係を結べるシビル・パートナシップを望む声が高まっていた。
今回の動きは最高裁での判決を受けたもので、政府は異性カップルとその家族にさらなる安定をもたらすとしている。
異性カップルのシビル・パートナーシップ選択権を主張していたカップルは、今回の動きは「大きな前進」だと話した。
ただ、「法案が成立するまで」は祝福はしないと述べた。
ソーシャルメディアでも今回の発表を歓迎する人々が見られ、シビル・パートナーシップを結んでほしいとプロポーズする人も現れた。
キャサリン・オークリーさんは、ボーイフレンドのサムさんに「控えめな表現」を使い、「私と結婚しないでくれる?」とテキストメッセージでプロポーズした。
キャサリンさんはサムさんに送った「今(政府の発表を)見た! 私と結婚しないでくれる? これは私のWhatsappでの正式なシビル・パートナーシップのプロポーズ」というメッセージをツイッターに掲載。
「政府が異性カップルのシビル・パートナーシップ制度利用を合法化したから、Whatsappでパートナーにプロポーズして、彼がイエスって言った!(職場で泣いてなんかないよ、そっちこそ泣いてるじゃない)」とコメントした。
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キャサリンさんはBBCの取材に、「プロポーズとしては、特にロマンチックでなければ伝統的でもない」と話した。
「結婚は歴史的で、宗教的で、男性優位の意味合いを含むもの。シビル・パートナーシップはまっさらなキャンバスをくれるもの」
「未知の領域だから、自分たちで作り上げていける」
法改正は、最高裁が6月、シビル・パートナーシップを結びたいというレベッカ・スタインフェルドさん(37)とチャールズ・ケイダンさん(41)の訴えを聞き入れたことを受けてのもの。
最高裁は、対象を同性カップルのみに限定した2004年のシビル・パートナーシップ法は、欧州人権条約に則していないとの判断を下した。
スコットランド政府も、異性カップルへのシビル・パートナーシップ適用について審議を進めている。
英国のシビル・パートナーシップ制度とは?
英国では2004年、当時まだ法的に結婚できなかった同性カップルに対し、結婚している異性カップルと同様の法的・金銭的保護を認めるシビル・パートナーシップ制度を制定した。異性カップルには適用されなかった。
その後、2013年にイングランドとウェールズで、2014年にはスコットランドで同性婚が合法化された。これにより、同性カップルは結婚とシビル・パートナーシップのどちらかを選べるようになった。なお、北アイルランドでは同性婚は合法化されていない。
しかしこの時、逆も真なりとはならず、異性カップルはシビル・パートナー制度の適用を受けなかった。今回改正が加えられるのはこの部分だ。
英国では日本と異なり、結婚にはお互いの結婚の誓いと挙式が必須条件。一方、シビル・パートナーシップは書類に署名するだけで認められる。
なぜ結婚ではなく
結婚したくないカップルにはさまざまな理由がある。
中でも多いのは、結婚は伝統的な男女の役割に根ざしている制度で、カップル間の対等な関係を表していないという意見だ。
スタインフェルドさんとケイダンさんは4年にわたって法改正を求めて活動を続けた。インターネットの署名活動には13万人が参加し、すべての人にシビル・パートナーシップを認めるよう賛成した。
2人は「結婚という伝統は(中略)何百年もの間、女性を所有物として扱ってきた」として、自分たちの選択肢にはないと話している。
「私たちは対等なパートナーとして子どもを育てたい。シビル・パートナーシップは現代的な、対称的な制度で、子どもたちのお手本としても最適だ」
人々の反応は?
ケイダンさんは、自分とスタインフェルドさんは「たまたま活動家になった」だけだとBBCに話した。
「私たちだけではない。何千組ものカップルがシビル・パートナーシップを結びたいと望んでいる」
ケイダンさんは、法改正が実現し、いつ最初の異性カップルによるシビル・パートナーシップが成立するのか知りたいと話した。
スタインフェルドさんも「チャーリーと私はやっと、自分たちに合った関係を公のものにできる」と付け加えた。
「イコール・シビル・パートナーズ」で活動を行っていたマーティン・ロート氏も、「万人のためのシビル・パートナーシップに向けた重要な一歩がまた踏み出された」と歓迎した。
「この法律は公平で人気のあるものになり、安定した家庭を促進するだろう」
一方、保守党議員のサー・エドワード・リーはこの発表を受けて「男女カップルのシビル・パートナシップが合法化された。きょうだいもいいのでは?」とツイートした。
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英国では、死亡時に全ての財産を配偶者あるいはシビル・パートナーシップの相手に譲渡する場合、相続税がかからない。しかし、きょうだいの間では相続税がかかる。
リー議員は、長年同居しているある姉妹が、どちらかが死んだら相続税を払うために家を売らなければならないと訴えてきたことを受け、きょうだいへの適用を求めるキャンペーンを行っている。