イラン、また「外国の石油タンカーを拿捕」 か 国営メディア報じる
イラン国営メディアは5日、イラン政府がペルシャ湾でイラク船籍の石油タンカーを拿捕(だほ)したと報じた。「アラブ諸国に石油を密輸」していたためで、7人の乗組員を拘束したとしている。
これに対しイラク石油省は、拿捕された船とイラクに関係はないと発表した一方、情報を集めていると述べた。
トランプ政権は昨年、2015年のイラン核合意から離脱しイランへの経済制裁を再開。これを受けた米・イランの緊張はペルシャ湾にも飛び火しており、タンカーの拿捕やドローン(小型無人機)の撃墜などが相次いでいる。
今回の報道が確認されれば、イランが最近拿捕した外国船籍は3隻目となる。
イランの沿岸警備隊は7月13日、パナマ船籍の「MTリア」を拿捕。革命防衛隊(IRGC)が運営するメディアによると、警備隊が「組織化された密輸の捜索・対処」のためのパトロールをしている最中に捕まえられたという。
また19日には、ホルムズ海峡でイギリス船籍の石油タンカー「ステナ・インペロ」が漁船と衝突したとして拿捕している。
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イラン国営ファルス通信によると、今回の拿捕は7月31日にペルシャ湾のファルシ島近くで行われた。
IRGCの司令官は、この船は約70万リットルの石油を運んでいたと説明。イラン南西部のブーシェフル港へ寄稿し、当局に引き渡された。
報道はこの船がイラク船籍だと伝えているが、7人の乗組員の国籍は明らかになっていない。
イラク石油省は国営イラク通信を通じ、拿捕された船とのつながりはないと説明した。
イラクは声明で、「石油省は国際市場にディーゼル油を輸出していない」と述べた上で、この船がどこに属しているのか、情報収集を行っているとした。
一方でロイター通信によると、イラクの港湾関係者からは、この「小さな船」はイラクの貿易企業傘下の海運会社のものではないかとの情報が出ているという。
BBCのセバスチャン・アッシャー・アラブ問題編集長は、拿捕された船は比較的小型だが、中東地域の緊張を高めることに変わりはないと分析した。