「イランがタンカーから機雷外した」 米軍が映像を公開、イランは関与否定
中東のオマーン湾で13日、タンカー2隻が爆発した事件で、アメリカ軍は同日、映像を公開し、イランの革命防衛隊がタンカーから不発だった機雷を取り外している場面だと説明した。アメリカは攻撃はイランによるものとしている。
米当局は、日本の国華(こくか)産業が運航するタンカー、「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」に機雷が装着されていたことを示すとする写真も公表した。
イランによる「理由なき攻撃」
コクカ・カレイジャスと、ノルウェー企業が所有する「フロント・アルテア(Front Altair)」は、ホルムズ海峡付近を航行中に爆発し、火災が発生した。
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は同日の記者会見で、イランによる「理由のない攻撃」と説明した。
イランは「根拠がない」としてこれを否定している。
ノルウェーの海事当局は13日、フロント・アルテアは何者かによる攻撃を受け、3回の爆発が起きたと明らかにした。同船をチャーターした台湾企業は、「魚雷で攻撃された疑いがある」と説明した。
乗組員計44人は全員救助され無事だった。イランとアメリカの双方が、救助したと主張している。イラン国営テレビは、救助された乗組員たちとされる映像を公開した。
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「イランの他には不可能」
ポンペオ氏は会見で、爆発を引き起こした武器に関する情報から、イランが攻撃したと分析していると説明。「最近起きたイランによる船舶に対する同様の攻撃や、高度に洗練された行動を取れる胆力や熟練度をあの地域でもっている組織は他にないこと」からも、イランが関与したとみていると述べた。
また、「今回の事件は、イランとその代理による、アメリカと同盟国の利益に対する一連の攻撃の最新版に過ぎない。全体としては、これらの理由なき攻撃は国際平和と安全への明白な脅威であり、航行の自由への露骨な攻撃であり、緊張をエスカレートさせる、イランによる受け入れがたい行動である」と述べた。
しかし、証拠はまったく示さなかった。
イギリス政府筋はBBCに、同国もアメリカと同様の分析をしていると明らかにした。
イランは全面否定
一方、イラン高官はBBCに、「イランは(爆発と)何の関係もない」と述べた。
イランの国連大使は14日に声明を出し、「アメリカの根拠の無い主張を全面的に否定し、最大限に非難する」と反発した。
「緊張は最大レベル」
原油輸送の重要航路であるホルムズ海峡付近では先月も、サウジアラビアの石油タンカー4隻が、アラブ首長国連邦(UAE)沖で機雷によって攻撃される事件が発生している。
この事件の犠牲者は無く、犯行声明も出されていない。米当局はイランが関与したとの見方を示したが、イランはこれを否定した。
世界最大の国際海事団体、バルチック国際海運協議会(BIMCO)は、ホルムズ海峡およびオマーン湾の状況について、「実際の武力衝突はないが(緊張は)最大レベルに高まっている」と分析。船舶の所有者に対し「高度の警戒」を呼びかけた。
国連で対応策を協議
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は13日に開かれた安全保障理事会で、タンカーへの攻撃を非難。国際社会は「中東地域における大規模な紛争」を受け入れることはできないと述べた。
欧州連合(EU)は「最大限の自制」を要請。ロシアは、早合点してイランにプレッシャーをかけるべきではないと主張した。
安保理は同日、非公開の特別会合を開き、今回の事件について対応策を話し合った。
<分析>アメリカの情報とは? ――ジョナサン・マーカス、防衛問題担当編集委員
イランの仕業だと急いで判断するのは危険だと指摘する人はいるだろう。もしアメリカが何らかの対応、特に軍事的な対応を取る考えであれば、友好国を含めた多くの国々に対して、アメリカがどういう情報をもっているのか、詳しく知らせることが求められる。
イランは事件への関与を否定している。ぬれぎぬを着せられていると主張することで、批判をかわす狙いだ。イラン政府職員は、「『誰か』がイランと国際社会の関係を不安定にしようとしている」と訴えた。