米ウィスコンシン州の抗議参加者3人殺傷、17歳を起訴

A sign reading "Pray for Kenosha" in Wisconsin

画像提供, EPA

画像説明, 発砲事件はウィスコンシン州ケノーシャの騒乱3日目に起きた

警官が黒人男性を背後から複数回銃撃した事件をめぐる抗議デモが続く米ウィスコンシン州ケノーシャで、抗議参加者が撃たれ2人が死亡、1人が重傷を負った事件で、地元検察は27日、17歳少年を殺人罪などで訴追した。

ケノーシャ郡検察は、カイル・リッテンハウス被告(17)を、殺人罪2件と殺人未遂罪1件で起訴した。さらに、危険な武器の所有や、「無謀に安全を脅かした」罪などでも起訴した。

リッテンハウス被告は25日夜、人種差別に反対する抗議デモの参加者に向けて発砲した疑いで26日、イリノイ州アンティオックの母親宅にいるところをに逮捕された。報道陣には、抗議者からケノーシャの建物を守ることが自分の「仕事」だと話していた。

被告のソーシャルメディア・アカウントの投稿内容から、ドナルド・トランプ米大統領を支持していることがうかがえる。また、警察や銃器の熱烈な愛好家の様子。

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被告が抗議参加者を死傷したとされる抗議デモは、黒人男性ジェイコブ・ブレイク氏(29)が23日夜に背後から警察に7回にわたり撃たれたことを機に始まった。ブレイク氏はケノーシャの路上で車に乗り込もうとした際に、警官から撃たれた。車の後部座席にはブレイク氏の子どもたちが乗っていた。

ブレイク氏は入院先の病院で回復しつつあり、意識はあると家族は明かしている。しかし弁護団は、「奇跡」が起きない限りブレイク氏は再び歩けるようにはならないとしている。

ケノーシャ警察は、ブレイク氏の車内でナイフを発見したものの、ほかに武器はなかったと発表した。警官がブレイク氏を背後から撃った経緯について、捜査が続いている。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、ライフルを手にした男が大勢に追われた後、地面に倒れ、自分を追いかけてくる集団に向けて発砲したように見える。

ジョーセフ・ローゼンバウム氏(36)とアンソニー・フーバー氏(26)が撃たれて死亡し、ゲイジ・グロスクロイツ氏(26)が負傷した。

ミシガン湖西岸に位置するケノーシャ市は人口約10万人。

動画説明, 警官が黒人を背後から銃撃 米ウィスコンシン州で抗議デモ

ブレイク氏への発砲を機に、アメリカ各地で激しい抗議行動が相次いでいる。複数のプロスポーツが、警官による発砲に抗議して試合を中止している。

ウィスコンシン州の司法長官は26日、ブレイク氏に発砲したのはケノーシャ警察で勤続7年のラステン・シェスキー警官だと発表。これを機に同日夜の抗議はそれまでより静かなものに変わった。

ケノーシャで地元警察や連邦職員が抗議を取り締まる手法が過剰だと、批判や怒りが広がっている。連邦職員はトランプ大統領が派遣した。

27日には アメリカ自由人権協会(ACLU)が、ケノーシャ警察本部長と郡保安官に対し、「白人至上主義」を擁護し、「警察暴力に抗議して自分たちの憲法修正第1条の権限を行使したために殺された人たちを悪者扱いした」として、辞任を要求した。