マレーシアで政権交代 マハティール元首相の野党連合が総選挙勝利
マレーシアで9日、連邦下院選が投開票され、マハティール・モハマド元首相(92)率いる野党連合・希望連盟(PH)が歴史的勝利を実現した。1957年の独立以来、初の政権交代が実現する。
首相を22年にわたり務めた後、政界を引退していたマハティール氏は、かつて弟子のような存在だったナジブ・ラザク首相(64)の対抗馬として出馬していた。ナジブ首相は、汚職と縁故主義の批判にさらされていた。
10日未明の選挙管理委員会発表によると、連邦下院(定数222)でマハティール氏率いるPHは過半数超えの115議席を獲得した。ラザク氏率いる与党連合・国民戦線(BN)の議席は今のところ、79議席に留まっている。マレーシアでは下院過半数の政党が与党となり、政権を樹立する。
マハティール氏は報道陣に、「我々は報復を求めているのではない。法の支配を復活させたいのだ」と話した。
元首相は、10日中にも宣誓就任式を開きたいと述べた。公選された世界最高齢の国家首脳となる。
選管発表の後、政府報道官は10日と11日を国全体の祝日にすると発表した。
情勢が次第に明らかになると、野党支持者が次々と通りに繰り出し、歴史的勝利を祝った。
BNと主要政党の統一マレー国民組織 (UMNO)は、1957年に英国から独立して以来、マレーシア政界で圧倒的な影響力を誇ってきたが、近年では支持率にかげりが出ている。
2013年の総選挙では野党連合が躍進し、得票数では勝ったものの、政権を発足させられるほどの議席数には至らなかった。また、マレーシアでは犯罪とされる同性愛行為のかどでたびたび逮捕・告訴された野党指導者のアンワル・イブラヒム元副首相が、2015年に有罪となった。元副首相は、政敵による中傷工作だと主張している。
かつてBNの中心的存在でナジブ首相を指導していたマハティール氏は2016年に、BNを離脱した。その際には、「汚職を支える」と見られている政党に関わるのは「恥ずかしい」と発言していた。
ナジブ首相は、政府系投資ファンドから約7億ドルを着服していたなどの汚職疑惑に巻き込まれている。首相は疑いを全面否定し、マレーシア当局も首相の関与はないと認定している。
政府系ファンド「1MDB」については、複数の政府当局が捜査を進めている。ナジブ首相は、主な捜査幹部の解任によってマレーシア当局による捜査を阻止しようとしていると批判されてきた。