英政府、ウクライナに武器の追加供与へ ウクライナ兵20人以上が英国内で訓練
イギリスのボリス・ジョンソン首相は23日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話で会談し、武器の追加供与を約束した。英首相官邸が明らかにした。
英首相官邸によると、ジョンソン首相はゼレンスキー大統領に装甲車やドローン、対戦車兵器を追加で送ると伝えた。ゼレンスキー氏は、英軍が今月に入りイギリス国内でウクライナ兵20人以上を訓練していることについて、首相に謝意を伝えた。
ジョンソン氏はさらに、在キーウのイギリス大使館を来週にも再開すると22日に発表した内容を、あらためてゼレンスキー氏に直接伝えた。
首相官邸報道官は、「私たちがウクライナの人たちを支え、連帯している」ことを行動で示したものだと説明した。
イギリス政府によると、イギリス国内で訓練を受けているウクライナ兵は、イギリスが提供する装甲車120台の使い方について指導されている。
戦争犯罪の証拠集めに協力
英首相官邸によると、電話会談でゼレンスキー大統領はジョンソン首相に対し、ロシアがこのところ作戦行動を集中させているウクライナ東部ドンバス地域での最新状況を説明した。両首脳は、ロシアが南東部マリウポリ、南西部オデーサ、西部リヴィウなどで民間人や民間施設への攻撃を続けていることを、共に非難した。
ジョンソン首相はゼレンスキー大統領に、ロシアはその行動の責任をとらされることになると述べ、戦争犯罪の証拠集めにイギリス政府が協力していることを伝えた。ロシア軍関係者への追加制裁についても、最新情報を説明した。
両首脳はさらに、ウクライナの長期的な安全保障策を構築するためイギリスが協力国と連携していくことを確認。加えてジョンソン首相は、20日に米ワシントンで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を含め、様々な多国間の枠組みで、ウクライナへの金融支援が協議されていることを伝えた。
両首脳はさらに、ロシア軍が包囲する南東部マリウポリから市民を脱出させるため、一時停戦と人道回廊の設置が必要だと合意した。
マリウポリでは、アゾフ海に面する工業地帯のアゾフスタリ製鉄所に、民間人約1000人とウクライナ兵約2000人がたてこもっている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日に、製鉄所の総攻撃を中止し、代わりに完全封鎖するよう命じた。しかし、ウクライナ政府によると23日には、ロシア軍が製鉄所への攻撃を再開したという。
来週には国連のアントニオ・グテーレス事務総長がロシアとウクライナを訪れ、プーチン、ゼレンスキー両大統領とそれぞれ会談する予定。マリウポリから市民や傷病兵を脱出させるため、人道回廊の設置も議題のひとつになるとみられる。
イギリスの軍事支援に満足=ゼレンスキー氏
ジョンソン氏との電話会談後、同日夕にキーウの地下鉄駅で記者会見したゼレンスキー氏は、イギリスからの軍事支援のレベルに「満足している」と述べた。
「提供されているよりもっとたくさん欲しいが、それでも満足している」と、大統領は記者団に話した。
「最大の軍事支援を提供してくれているのはアメリカとイギリスで、戦争中にそこから何も断ることも拒否することもできない。欧州にはほかにも友人はいるが、本当に大規模な援助の話をしていて、それに感謝している」