バイデン氏、台湾の防衛を明言 米方針に変化か
テッサ・ウォン、BBCニュース
ジョー・バイデン米大統領は23日、日本での記者会見で、中国が台湾をめぐって「危険をもてあそんでいる」と警告するとともに、台湾が攻撃された場合は防衛のために軍事介入すると明言した。
バイデン氏は、米大統領になって初めてアジアを歴訪中で、地域の同盟国を訪れている。この日は東京で岸田文雄首相と会談した後、共同記者会見に臨んだ。
バイデン氏は東アジア地域の問題をめぐり、アメリカの長年の政策と矛盾する方針を示したように見えた。だが、ホワイトハウスは、これまでの政策から離れたわけではないと主張した。
バイデン氏はまた、台湾と、ロシアによるウクライナ侵攻を並列に置いた。中国はこれに怒り、強く非難した。
中国は台湾を、本土と再統一されなければならない分離された省とみなしている。
バイデン氏の発言
バイデン氏は会見で、中国と台湾の状況を、ロシアによるウクライナ侵攻と直接結びつけて発言。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、「ウクライナのアイデンティティーを消滅」させようとしていると述べた。
そして、ウクライナとロシアが最終的に和解し、制裁が続かなかった場合には、「台湾を武力で奪おうとすることの代償について、中国にどのようなシグナルを送るのか」と述べた。
また、中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入したとの報告が増えていることに関し、「中国軍機は現在、すぐそばを飛行し、あらゆる演習を行っており、すでに危険をもてあそんでいる」とした。
さらに、「それ(中国による侵攻)は起こらないし、試みられることもないだろうと予想している」とした。しかし同時に、「その種の行動が長期的な不支持につながることを、世界がどれだけ強く明確に示すか」にかかっていると付け加えた。
ロシアによるウクライナ侵攻では軍事行動はしなかったのに、中国が台湾を侵攻した場合は軍事的に台湾を守るのかと単刀直入に聞かれると、バイデン氏は、「そうだ(中略)それが私たちの約束だ」と答えた。
「武力で奪うことができるという考えは(中略)単純に適切ではない。それは地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたのと似たような行動となるだろう」
ただバイデン氏は、アメリカの台湾政策は「変わっていない」と前置きした。ホワイトハウス報道官は素早く、この部分を強調した。
アメリカの曖昧戦略
中国が攻撃してきた場合、米国は台湾を守るとバイデン氏が明確にしたのは、ここ数カ月で2回目。米政権のトーンが変わったと見られている。
アメリカは中国と台湾の問題について、「戦略的曖昧さ」として知られる政策を取っている。これまでは、台湾侵攻のような状況でどのような対応をするか曖昧にしてきた。
アメリカは、台湾と正式な外交関係はないものの、兵器を輸出している。一方で中国とは正式な外交関係を維持しており、中国政府は1つしかないとする中国の「1つの中国」の立場を認めている。
中国外務省の汪文斌報道官は、「台湾は中国の不可分の領土だ」とし、譲歩の余地はないと主張。
「台湾問題とウクライナ問題は根本的に違う。それらを比較するのはばかげている。中国はアメリカに対し、『1つの中国』の原則を守るよう再度強く要求する」と述べた。