ウクライナでの戦争、「何年も続く可能性」 NATO事務総長が警告

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画像説明, 北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長(16日)

北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、19日付のドイツ紙のインタビューで、ウクライナでの戦争は今後何年も続くかもしれないため、西側諸国は同国への支援を続けなくてはならないと警告した。イギリスのボリス・ジョンソン首相も英紙への寄稿で、戦争は長期化するとの見方を示し、ウクライナへの手厚い武器供与が同国勝利の可能性を高めるとした。

ストルテンベルグ氏はドイツ紙ビルトのインタビューで、戦争のコストは高いが、ロシアに軍事的目標を達成させることの代償はさらに大きいと述べた。

そして、「(戦争は)何年もかかるかもしれず、私たちはそれに備えなくてはならない。ウクライナへの支援の手を緩めてはならない」と主張。

「軍事支援のコストだけでなく、エネルギーや食料の価格上昇によってコストが上がったとしてもだ」と語った。

ストルテンベルグ氏はまた、ウクライナに近代的な兵器を供給することが、同国東部ドンバス地方の解放の可能性を高めると述べた。同地方の大部分は現在、ロシアが掌握している。

ロシア軍とウクライナ軍は数カ月にわたり、ウクライナ東部をめぐって戦闘を続けている。ロシア軍はここ数週間、じわじわと前進している。

ジョンソン英首相も

イギリスのジョンソン首相も、紛争は長期化するとして覚悟を呼びかけた。

18日夕に電子版が公開された英紙サンデー・タイムズへの寄稿で、ジョンソン氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、「消耗戦」によって「ひたすら残虐にウクライナを粉砕しようとしている」と非難。

ジョンソン氏は、「長い戦争を覚悟しなくてはならない」、「時間が重要な要素だ。ロシアが攻撃力を回復するより先に、ウクライナが国土の防衛能力を強化できるかに、すべてがかかっている」と主張した。

ジョンソン氏は17日にウクライナの首都キーウを訪れ、同国軍に対する兵器、装備、弾薬、訓練は、モスクワの再武装の動きを上回る必要があると述べていた。

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英陸軍トップは厳しい調子で

英陸軍トップに先週就任したパトリック・サンダース大将は、ロシアとの地上戦にイギリスと同盟国は勝利しなければならないと、厳しい調子で警告した。

サンダース氏は、BBCが確認した内部通知の中で、「ロシアのウクライナ侵攻は、私たちの中核的な目的を強調するものとなっている。それは、イギリスを保護し、地上戦を戦って勝つ準備ができているというものだ。今回の侵攻はまた、武力による脅迫を伴うロシアの侵略を抑止する必要性を大きくするものである」との考えを示した。

ウクライナ当局はここ数日、ロシア軍を撃退するには、同盟国からの重火器の提供が大きく増える必要があると、率直に表明している。

ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相は15日、ベルギー・ブリュッセルで、アメリカ主導の「ウクライナ防衛コンタクトグループ」の約50カ国と会談。兵器・弾薬の供給増を要請した。

西側同盟国はこれまで、ウクライナに兵器を提供してきた。だが、ウクライナは自衛に必要なごく一部しか受け取っていないとし、さらに強力な兵器を求めている。

ウクライナでの他の動き

  • ウクライナのヴァディム・デニセンコ内相補佐官は、ロシアが東部ハルキウを「前線都市」にしようとしていると話した。
  • ウクライナ議会は、メディアや公共の場でのロシア音楽の禁止を、全会一致で決めた。ロシアとその同盟国のベラルーシからの書籍を輸入禁止にする法案も、議会に出されている。
  • ドイツは、国内のエネルギー供給を保証するため、石炭使用の増加を含む緊急措置を計画していると明らかにした。ロシアがガスの供給をさらに削減、停止した場合に備えるもの。
  • 米ハリウッド俳優のベン・スティラー氏は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使として、ウクライナとポーランドを訪れた。